フリーランスデザイナーの村松豊文が“映画”に惹かれる理由

フリーランスデザイナーの村松豊文が“映画”に惹かれる理由

広告デザイナーという仕事をしていると、毎日のように「伝える」ということに向き合う。

クライアントの意図をビジュアルで表現し、数秒で人の心に残るものをつくる。そんな仕事を続けていると、感覚がすり減っていく瞬間がある。

そんなとき私・村松豊文にとって欠かせないのが、映画だ。美術館に行くような感覚で映画館に通い、映像からインスピレーションを得る時間を意識的に作っている。

ワンカットに宿る“伝える力”

デザインと映画は、表現の形式こそ違えど、本質的には似ている。

たとえば、ヨーロッパ映画のワンシーン。言葉が少なくても、光の使い方やカメラの揺れだけで、登場人物の感情がリアルに伝わってくる。広告バナーでも同じように、ビジュアルひとつで物語やメッセージを想像させる力が求められる。

ワンカットに込められた表現の奥深さを知るたびに、自分ももっと“語れるデザイン”をつくりたいと思える。

映画がくれる、もうひとつの視点

独立してから、誰かと仕事の合間に雑談をすることは減った。だからこそ、映画の中のストーリーやセリフが、自分の中で“もう一人の視点”になってくれる。

気づけば、登場人物に自分を重ねていたり、映像の世界観を脳内で再構成していたりする。そうした時間が、デザインの方向性やビジュアルイメージを考えるときにふと役立つことがある。

発想を固めすぎない柔軟さを持ち続けるためにも、自分にとって映画は重要な存在だ。

村松豊文にとってインプットも仕事の一部

映画を観たからといって、すぐに成果物のクオリティが変わるわけではない。けれど、日々のインプットが少しずつ積み重なり、気づけば自分の引き出しになっている。

広告代理店やスタートアップからの短期案件が多い中、限られた納期と要件でも“印象に残るもの”を届けられているのは、そうした感覚のベースがあるからかもしれない。

だからこれからも、映画館に通うことも、仕事のうちだと思って続けていきたい。